ワタリウム美術館
2008-12-6
美しい青い風が― I Love Art9 ワタリウム美術館コレクション
何年かぶりにワタリウム美術館に行きました。3年ぶりくらいですかね。ここは現代アートの美術館です。場所は青山です。ベルコモンズから歩いてすぐです。決して大きくない、はっきり云うと小さい個人の美術館ですが、この美術館が日本の現代アートの普及に大きく貢献したのは、間違いないですね。今でこそ、現代美術館が各地で作られていますが、この美術館ができた当時は現代美術はまだまだ逆風が強かった頃だったはずです。
今回、展覧会に行ったのは、ジョン・ケージとボイスの作品を見たかったからです。ですが、かなりの収穫があって、とても充実した時間になりました。
ボイスは『コヨーテ -私はアメリカが好き、アメリカも私が好き』のパフォーマンスの映像が見れたのが良かったです。今まで、映像でちゃんと見たことがなかったので、実際コヨーテとボイスがどのように、一緒に生活していたのか、ちょっと想像がつきませんでした。でも映像を見てイメージが掴めましたね。これも一種の社会彫刻と云う事になるんでしょうか?ボイスなりのアメリカに対する表現であったことは確かですが、コヨーテをアメリカの象徴としたのは何故なんでしょうかね?そのコヨーテだけと対峙すると云うのは、そこにアメリカがあるということなんでしょうかね。ここらへんはまだ勉強不足です。
ボストンで「フェルト・スーツ」を見て以来ボイスが好きな作家の一人になったのですが、今回もボストンとは違うスーツでしたが『フェルト・スーツ』が展示されてました。切りっぱなしの記事、そしてフェルトの厚さ。全てがスーツとは繋がらない感じがするのですが、ボイスはそれを見事にスーツにしてしまった。可能であれば一着欲しいくらいです。フェルトも持つ柔らかなイメージとスーツのもつ硬いイメージ、それはモダニズムへのある種の警句だったのでは?と今の時代になって思うことがある。だとすればやっぱりボイスは凄いと思うわけです。
ボイスはフルクサスの初期のフルクサスに係わっていたわけで、だからジョージ・マチューナスとはよく知った仲だったわけです。ジョージマチューナス追悼コンサートでボイスは終生の友である、ナムジュン・パイクと追悼の演奏をデュエットをしたわけです。このときの「コンクリートスコア」を黒板に再現した『コンティニュイティ』と言う作品も見ましたが、黒板にチョークで描いたスコアが作品になってしまうってのは、驚きますね、正直。しかしこの価値観の変化が現代アートの今へ繋がっているわけで、面白かったです。
もう一人、ジョン・ケージです。この二人が目的と言うことはフルクサスに最近興味があるんでしょう?と思う人がいたら、当たりです。まあでも、展示されていたケージの作品は、実験的な作品だったので、まあ、習作的位置づけのものになると思います。”チャンスオペレーション”によって、日本の竜安字の石庭を描いたものでした。まあ鉛筆で書いただけなので、絵画としてみると、本当にショボイです。これは”チャンスオペレーション”を知らないと全くわからんでしょうね。
この前、森美でも出てたジャン・ホアンも展示されていました。この人の作品が好きなわけではないですが、やはり印象には良くも悪くも残りますよね。ワタリウム美術館でやったパフォーマンスの映像だったんですが、今回もまっぱで暴れまくってましたね。
今回、ニキ・ド・サン=ファール、ウォーホル、キース・へリングなんかも出てたんですが、日本の作家がなかなか良かった。滝口修造のデカルコマニーの作品なんかも興味を持ちましたね。1971年に制作されています。駒井哲郎の作品もまとまって見たは初めてだと思います。「箱」のシリーズの作品とかよかったです。1970年の日本動向が、ボイスや、ケージなんかと並べると、よく分かりましたね。哲学的な価値観にアートの価値がシフトしていくなかで、日本はそれを、東洋なりのスタイルでどう受け止めるか模索しているように思えましたね。
そうそう、ホアン・ヨンピンの『非難はしご』これ確かに傑作。詳細かかないんで、興味がある人は実際に見に云ってください。梯子は人を救出するものですよね?それが…。
さてラスト、今回のお気に入り!小沢剛です。『なすび画廊』これしかないでしょう。牛乳箱が画廊なんて、笑っちゃいますよね。この人は基本的に、面白すぎるですが、この作品は傑作ですね。これを銀座なんかの街路樹にくくりつけて画廊を展開したらしいんですが、やってくれるますよねー。この感覚ってフルクサスの考えと共通してますよね。さらに小沢さんは電話一本で作品を持っていく出前美術館みたいな作品も作っていて、本当笑っちゃうんですが、その基本的な考えには、フルクサスなどに見られる、アートを高いところに置かない考え方が明らかに見えて、面白いんですよね。
ワタリウム美術館は青山にとけこむように、たたずむ、実に都会的な美術館です。自分の好きな美術館ですが、もう一つ見逃せないのが、ショップなんです。ここのショップが結構好きです。一階のショップが人気がるようですが、自分は地下のブックストアーが好きです。なんかニューヨークの古本屋にいる気分がするんですよね。置いてある本も現代アートに関するものが充実しているので、参考資料を探すのも役にたつと思います。一階ではフライタークの鞄も売ってます。価格が高い高級系が多いのはさすが青山って感じですね。でも見てるだけでも楽しめます。
そうそう地下では小企画でディズニー・タイムカプセル展もやっていました。クロアチアで作られていた、ディズニーの人形が展示されていました。正規のものらしいんですが、デザインがオリジナルとかなり違って、デフォルメされているんですよね。悪くいうと、中国のどっかの遊園地みたいな感じで、コピー品みたいなんですが、ちゃんライセンスととって制作していたようです。これ、造形の違い面白いので、時間があればぜひ見て!
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