水戸芸術館
現代芸術センター
2008-10-1
ジュリアン・オピー Julian Opie 展
水戸芸術館に行ってきました。車で東京から行くと、宇都宮美術館と同じくらいの時間、距離でした。はっきり言うと、美術館としてはあまり好きではありませんね。ちょっと中途半端な気がしました。展示室は、基本的には外光を多く取り入れる感じのホワイトキューブなんですが、全体な建物がいまいちでした。
ここ芸術館とあるように美術館ってわけではないのです。四角形の敷地に芝生の庭と建物、それからなんだかわけのわからないネジネジの塔が立っています。展示室は建物の中にあるのですが、この中にはコンサートホールも入っているし、劇場もあって、さらにロビー上部にはパイプオルガンがあったりして、いろいろな施設が一まとめにされているのです。展示室のすぐ前がコンサートホールの入り口だったりして、なんだか落ち着かないし、安っぽい感じがでした。
さらにネジネジの塔。シンボル的な感じなんですかね。中に登ることができます。一応展望台なっています。一番上に登ると窓があるんですが、これが小さい穴なんですよ。なんので外が見にくいんです。展望スペースは上はガラス張りとかにできなかったんでしょうか。まあデザイン的にNGだったんでしょうが、中途半端でした。高さが100mあります。なので一応街を見渡すことができます。まあ、時間があれば登ってもいいかな。自分ら以外は誰も登っていませんでしたが。
でも、庭は街に位置するわりには広くて快適だし、石をぶら下げたオブジェに水が流れる滝はよかったので市民の憩いの広場にはなっているようです。
さて展覧会です。ジュリアン・オピーの作品は簡単に言っちゃうとポップアートですね。わかりやすいので、広く受けると思います。
最初の展示室にはイラストタッチの肖像画敵な作品が展示してありました。バストショットの構図でカラフルで、コミックのタンタンみたいな感じの作品でした。自分が気になったのは顔はただの円で体を輪郭のみで描いた、フレームのような絵が気になりました。これは石に描いたものや、石に掘り込んだものがあるんおですが、顔がないのにその人が表現されているんですよね。最小限の描写なんですが、それでも、それぞれの作品でモデルの個性がしっかり出ていました。とても面白かったです。また、シンプル化されて描かれた人物が動く作品もいくつか転じされていました。液晶画面の中で歩く作品や、見る角度によって絵が動く作品なども同時に展示されていましたね。これらの作品はある種、絵というより記号と言う印象でした。『前進するスザンヌ』という作品が気に入ったのですが、CGの作品でしかも記号みたいな造形であるにもかかわらず。その作品からは何故か人間くさいものを感じました。歩き方、そして記号されがらも最小限に表現された、特徴が妙に生生しかった。
さて、この後からは、モチーフがガラっと変わって風景になります。これも液晶画面を使って動く風景をCGにて描いてあります。日本八景と題されたシリーズでは風にそよぐ木々なさざめく水面が動く作品を映像絵画で表現してありました。
自分はこれらのシリーズとちょっと違うのですが、フランスの田舎の風景を黒い線だけで描いたドローイングの作品が好きになりました。これもコンピューターフィルムの作品で動く作品です。田園風景をが横にゆっくり流れていく、中で遠くの鳥が動いたりと景色が動くのですが、とても都会的な作品だと思いました。現代的と言ってもいいかもしれません。
全体的にデザイン的な作品なのでした。ある種の迫力はないですが、部屋に飾りたいと思う作品でした。
ジュリアン・オピーの作品は初めて見ました。印象としてはソフトでとてもスタイリッシュな作品ではないでしょうか。それだけに見る人に優しい作品だと思いました。
実はこの後、おまけがあって、村上史明という作家の作品が二つほど展示してありました。これがとても面白かった。でもこの作品は、空いてる状態じゃないと見ても面白くないです。何故なら一度に一人しか見れないからです。
作品は天体望遠鏡と顕微鏡を使ったもの二つでした。両方とも映像作品なんですが、これ凄く面白かったです。天体望遠鏡は中に映像が仕込まれていて、望遠鏡を覗いて向きを変えるとそれに合わせて映像も動くようになっています。実際には部屋の中にいるので本当にレンズを通して見ているわけではなくあくまで映像なわけです。さらに手元の回転ハンドルを回すと映像に近づいたり離れたりと、ズームができます。最初海が見えているのですが、ハンドルをグルグルまわすといろんなものが見てくるわけです。最初は海が見えていて、ハンドルを回すと建物や街などが出てきて、まるで海の向こうの、世界まで見えるような感じの、作品になっているのです。これ是非体験してみて欲しいです。
もう一つは、顕微鏡なんですが。顕微鏡の対物レンズの下に、1cmくらいの丸い画面あって、そこに映像が流れているわけです。これを、顕微鏡でみるわけです。この映像、実はバレエを踊る人なんですが、最初は引いて映した映像になっていて、黒い点が動いていて、何かの生物を見てるのかと思うわけです。そこから、だんだん映像が、寄って行くと、踊っている人間を真上から映してしることが分かります。ミクロの世界で人を見ているわけですが、人間の存在と言うものを、感じることができる作品で、とてもユニークだと思いました。こちらの作家との出会いの方が、強く印象に残りました。
水戸芸術館は思ったほど、よくはありませんでした、展示している作家はなかなか面白い人を選んでいると思います。実際ここは美術館よりも、コンサートの方がメインで動いているような感じでした。そっちの方が儲かるのかも知れませんね。実際、アートよりもコンサートの方が一般の人にはニーズがあるんでしょうね。
近くに近代美術館もあるようなので、次回はこちらも行ってみたいと思います。
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